摩天楼Devil
「内緒」


「そればっかじゃない」


藤堂さんの顔には意地悪な笑み。


「知らなくていいさ。俺のことは。必要ないだろ」


「いや、でも……」


でも、ってなんだ?


知りたいわけないじゃん……


こんな最低な人。


強引にキスして、脅して……


「あ、そうだ!写メは!?……いつ消してくれるんですか!?」


「そのうちな。いい子にしてたら。ま、しばらくは、ちゃんと働くことだけ考えるんだな。俺、風呂から上がったら、ご飯食べたいんだけど」


あ、そうだ。ご飯作らないと。


まな板や包丁、ボールに菜箸など、ある程度の調理道具は揃っていた。


あとは、肝心の材料。


私は台所に行き、シンクと壁の間に置かれた、小さな冷蔵庫を開けた。
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