摩天楼Devil
不思議がってるのが、表情に出ていたみたい。


「嫌がってるのを、強制的に使ってるから。そんな風に言ってくれるとは思わなかった」

と、彼は答える。


しかも、らしくもなく、寂しそうに。


そうそう。脅しなんて、ひどい。


今だって、そう思うのに……。


こっちこそ、そんな風に言われたら……


――困る。


「い、いえ。嫌がってるわけじゃ……」


だからといって、確かに自分から進んでやってるわけではないし。

なんて言えばいいんだろう。


藤堂さんも、あの偉そうな態度で、何か言ってくれればいいのに、一緒に黙りこむ。


当然、気まず~い空気が流れる。


「えっと……じ、実はチャーハンを作ろうと思っていたんです。か、買い物に行ってきますね」
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