摩天楼Devil
レシピを見ながら、材料を切っていく。


ふと、思った。


いつまで、こんなバイトってか、パシリしなきゃいけないんだろう……?


もし、叔父さんの話に釣られなかったら、脅されることなかったし、


何より、ファーストキス……無事だったよね。


“だったら、俺に惚れろ”

“こっちも本気で言ったんですけど”


「あ、あら?なんで、よりによってこんなセリフ思い出すのよ!」


やだ、なぜか緊張してきた。


こんな状態で、お湯をかける音なのか、ザバーッと水音が聞こえてきた。


「やだ。私は変態か!叔父さんもなんで、台所の横に浴室なんか……いや、それは設計士がしたのか……」


様々な妄想(もとい考え事)をしていたら、チンッと音が鳴る。
< 59 / 316 >

この作品をシェア

pagetop