摩天楼Devil
テレビで見た裏技を使っているのが、妙に楽しくて、気が付いたら、鼻歌を歌ってた。


卵で黄色に染まったご飯と、材料を炒めていると、


「楽しそうだな」


と、背後で声がする。


理想通りに、パラパラになったご飯を混ぜるので、なぜかテンションが上がってた私は、

「はい!」と、ガキ臭い返事をしてしまった。


すぐに、その声の主が誰だか意識し、


「あ……べ、別にそうでもないっす!」


と、言い直した。


急激に恥ずかしくなった。


――料理くらいで、何をはしゃいでるんだ、私は……。


藤堂さ……篤志さんこそ、絶対笑うと思ったので、ひたすらフライパンの中のご飯を見てた。


そろそろ、いいだろうと、お皿に入れるため、コンロを切った。
< 61 / 316 >

この作品をシェア

pagetop