摩天楼Devil
えっと、確か。


ママは喜んでたの。

篤志さんは黙ってれば、美男子だから。


だけど、それだけじゃなかった。


バイトや勉強があるから、パシリの時間はあまり作れない、みたいなことを告げたら――


「俺が“先生”になるわけだ」


そうだ。


その勉強を見る、って彼が言い出して――


ママは大喜びしたんだ。


ワンピースやイブニングドレスのことが、もうあっさり忘れてしまいそうなくらい、血の気が引いていく。


「赤点があるらしいね。おじさんに聞いた。その三教科。
次の期末テストで70点以上取ったら……そうだな、5000円値引きしてあげる」


――なんですと?


5000円引き?


それって、いいことなの?

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