摩天楼Devil
メガネの奥
「ここに住むって決めた時から、それじゃいけないんだ」
理解できない。
ここに住むなら、友達とかには頼めないってことかしら?
私はまた、被害妄想に入る。
ボロアパートが恥ずかしいんだ。
「そうですよね。嫌ですよね。こんなところ知られるの……一応、御曹司さんになりますもんね」
「何を言ってる……ここは好きだ。それと、御曹司って言葉は、俺じゃなく、兄貴に使うんだ」
篤志さんは“好きだ”と言ったときは笑みで、お兄さんの話をしたときは、寂しそうな瞳を伏せる。
何か話しかけなきゃ、と気を遣うほど、暗い雰囲気になる。
「お、お兄さんいらっしゃるんですか」
「まあね、俺とは正反対。何でもこなしちゃうんだ。悩んでるとこ見たことないよ」
理解できない。
ここに住むなら、友達とかには頼めないってことかしら?
私はまた、被害妄想に入る。
ボロアパートが恥ずかしいんだ。
「そうですよね。嫌ですよね。こんなところ知られるの……一応、御曹司さんになりますもんね」
「何を言ってる……ここは好きだ。それと、御曹司って言葉は、俺じゃなく、兄貴に使うんだ」
篤志さんは“好きだ”と言ったときは笑みで、お兄さんの話をしたときは、寂しそうな瞳を伏せる。
何か話しかけなきゃ、と気を遣うほど、暗い雰囲気になる。
「お、お兄さんいらっしゃるんですか」
「まあね、俺とは正反対。何でもこなしちゃうんだ。悩んでるとこ見たことないよ」