∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】
すると、手鞠ちゃんはふっくらとした唇をあけて、ゆっくり話しはじめた。
意識は思わず唇へといってしまう。
ああ、いますぐ彼女の唇を塞ぎたい。
白い肌に唇を寄せて、彼女がぼくのものだというシルシをつけたい。
だが、それは今の状況には合わない。
それに、彼女が大切だ。
彼女の意思を尊重させなければならない。
なんてややこしいんだろうか。
手鞠ちゃんの存在がここまで大きくならなかった時は、こんな感情はなかったのに…………。
だが、この感情さえも、彼女といると大切に思え、愛おしくなるのだから不思議なものだ。
「…………キス……マーク……消えた…………」
少し、ふてくされたように告げた魅惑的な唇。
ぼくは一瞬、彼女が何を言っているのかわからなかった。
キスマークが消えた…………?