∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】
「手鞠ちゃん?」
涙が目いっぱいにあふれてくる中、麻生先輩の心配するような声が聞こえた。
でも、だめ。
目がかすんで麻生先輩の綺麗な顔が見えない。
「手鞠ちゃん……ご飯、食べてなかったの?」
ひとつため息をこぼして訊かれた言葉。
幻滅されたかも…………。
…………コクリ。
言葉は喉につまって出せなくて、代わりにうなずいた。
その瞬間、麻生先輩の身体はあたしから離れた。
ひんやりした冷たい空気が、あたしのほてった身体を包む。
ぽちん。
ぽちん。
大きな手があたしの胸元へと近づいて、ボタンを上からしめられていく……。
あたしは何もできなくって、ただ呆然と麻生先輩があたしの乱れた服を直しているのを見守った。
……といっても、まだ視界は涙であふれて、きちんと見ることはできないけど……。