∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】
キス…………してたんだ。
いやだ。
やだよ……なんで?
どうして?
やっぱり……やっぱり、あたしはダメだった…………?
こんなちんちくりんは、麻生先輩は嫌いだった…………。
「…………はっ……うぅ…………」
両手を口元で押さえて声を掻き消そうとしても、悲しい気持ちが圧倒的に多くって、泣き声がもれてしまった。
だから……見つかってしまった。
「!!」
麻生先輩と女の人は身体を離して、こっちをジッと見つめてくる。
「手鞠ちゃん…………」
麻生先輩は顔をゆがめてこっちへと少しずつ歩いてくる。
なんで?
顔をゆがめるのはなんで?
キスシーンを見られて後ろめたい?
あたしを傷つけたことの罪悪感?
――――いやだ。
来てほしくない。
女の人とキスしていた先輩の……側にいたくない…………。
一歩、また一歩……麻生先輩があたしと間合いをつめるたび、あたしは後ろへ下がる。
近づかないでという言葉の変わりに首を振れば、涙は散っていく……。
そして…………。