∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】
あたしは……逃げた。
「手鞠ちゃん!!」
だけど、麻生先輩は追ってくる。
どれくらい走っただろう。
気がつけば、校門を抜けていた。
ここは、裏門……人があんまり通らない小道。
麻生先輩は相変わらず逃げるあたしを追ってくる。
足が短いあたしは、スタイル抜群な麻生先輩にかなうハズなんてない。
だから………………。
パシッ。
「手鞠ちゃん!!」
「………………」
あたしの腕は、とうとう麻生先輩に捕らえられてしまった。
身体が麻生先輩の胸の中へと引き寄せられる。
でも……前みたいに嬉しくない。
前みたいに……心が弾むような……優しい気持ちには…………なれない。
あんなに見たかった麻生先輩の顔も……見たくない。
顔は地面へと向いてしまう。