∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】
耳元では彼女の嗚咽が聞こえる。
だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
手を放せば、彼女はまたぼくから逃げてしまうだろう。
離れる?
ぼくから?
冗談だろ?
放さない。
放してたまるか。
やっと……やっと手に入れたんだ。
一度は……失いかけた彼女を……この手に抱けると感じたんだ。
なのに、離れる?
もう、あんな想いはまっぴらだ。
…………手鞠(てまり)ちゃんの言葉など聞きたくはない。