∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】
彼女は今、長いまつげを下ろし、眠っていた。
思わず半分開いている唇の中にぼくの唇を当てる……。
「ん…………」
甘い声が刺激してきた。
たまらず口の中へと舌をすべらせる……。
手は彼女の胸のふくらみをなぞっていく。
すると息を飲む気配が伝わってきた。
……起こしてしまったらしい。
「くおん…………」
ぼくの名前を呂律が上手くまわりきっていない口で告げられると……かわいいしか言いようがないじゃないか。
…………反則。
彼女は何をしてもぼくの気持ちを逆なでしてくる。
もう……やめてあげようと思ったのに……おかげで難しくなった。
「手鞠(てまり)ちゃん…………もう一度、抱くよ」
何かを告げようとした可愛らしい唇をぼくの唇で無理やり塞ぐ。
問答無用だ。
ぼくの心を……ここまで奪った彼女が悪い。
近い将来、ぼくは君に変わらない愛を誓うときがくるだろう。
やがてやって来るその時を思い、ぼくは彼女の耳へと、そっと……甘くささやく。
「愛しているよ。
手鞠」
.+*FIN*+.