∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】
時刻は昼休憩を回った頃。
もうそろそろかな?
ぼくはいつものように3年8組の教室のドアを見た。
いた。
手鞠ちゃんだ。
ドアからかわいい顔をヒョコっと覗かせるのは、ぼくの彼女。
唯一にして最愛の人魚姫。
華原 手鞠(かはら てまり)ちゃん。
彼女は大きな輝く目を凝らして、じっと様子をうかがうようにこちらを見ている。
ぼくの方へ来てもいいのか戸惑っているようだ。
迷う必要などないというのに。
だって、ぼくこそが手鞠ちゃんに会いたいと思っているのだから。
ぼくはにっこり微笑んで、彼女に手招きをする。
すると、彼女は満面の笑みを浮かべてぼくの方へとやって来るんだ。
――――かわいいな。
彼女のことを考えただけで口元がほころぶ。
手鞠ちゃんは、タタッと走ってきてぼくの膝の上にちょこんと座る。
いまや、彼女の定位置はぼくの膝の上だ。