∮ファースト・ラブ∮ *sugary*【番外編】

時刻は昼休憩を回った頃。


もうそろそろかな?

ぼくはいつものように3年8組の教室のドアを見た。




いた。

手鞠ちゃんだ。




ドアからかわいい顔をヒョコっと覗かせるのは、ぼくの彼女。


唯一にして最愛の人魚姫。



華原 手鞠(かはら てまり)ちゃん。

彼女は大きな輝く目を凝らして、じっと様子をうかがうようにこちらを見ている。




ぼくの方へ来てもいいのか戸惑っているようだ。


迷う必要などないというのに。


だって、ぼくこそが手鞠ちゃんに会いたいと思っているのだから。





ぼくはにっこり微笑んで、彼女に手招きをする。


すると、彼女は満面の笑みを浮かべてぼくの方へとやって来るんだ。




――――かわいいな。



彼女のことを考えただけで口元がほころぶ。




手鞠ちゃんは、タタッと走ってきてぼくの膝の上にちょこんと座る。


いまや、彼女の定位置はぼくの膝の上だ。



< 9 / 54 >

この作品をシェア

pagetop