これが恋だとするならば・・・
「俺ね。

高1ン時に習ってから、


ずーっと、


この歌がスキだったんだよ。
ちなみに牧水サンの短歌なんだけどさ・・・。」



俺が真剣に話しているのに、
智里は「フーン」とやる気のない返事を返してボンヤリと外を見始めた。




「・・・智里・・・俺の話、聞いてる・・・?」
「聞いてるよー。ってか高1で習うの?」
「そーそ。3学期ぐらいにね。」
「じゃあまだ先の話だねぇ。」



言いながらも智里は
視線を俺に映してくれない。



やっぱり、
智里は・・・
変わってるなぁ・・・。




「んでさ、
それって教師が説明するには、



空の青にも海の青にも
どっちつかずで染まれない一匹の白鳥は
一人ぼっちで悲しいねって


悲観的な歌らしいんだよ。」



「ヘェー。」

「智里・・・。」

「何?」

「ねぇ聞いてよー。」



俺の言葉を
軽く流す智里。


どんどん
一人しゃべりが
悲しくなってきて、
何も言わずに
じぃっと智里を見つめた。


すると
耐えかねたように
智里がいう。


「・・・分かった。



聞くからその目はやめてください。」




「うん。じゃあ、やめる。」




その目っていうのが
どんな目なのかは分からないが、



親にさえ


≪あんたは無表情すぎで


何考えているのか分からない≫




といわれた
俺の気持ちを
分かったなんて

サスガ智里だなぁと思う。



これが、
愛だといいなー・・・。



「で・・?何がいいたかったの??」



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