これが恋だとするならば・・・
「・・・・・ムゥ―ッ・・・」


「カワイコぶっても無駄ですよ!!」


「・・・・ねぇ。


智里。


俺ってそんなに邪魔??」



一瞬だけ揺らいだ瞳に


捨てられた犬みたいだと思った。




コイツは、
そんなに謙虚そうでも、
か弱そうでもないけど、


私は捨て犬みたいだと思った。



「邪魔です。」

ハヤク、
フリハラエテ、
シマエタラ・・・。




私は大の愛犬家だけど、


捨て犬の縋ってくる目が


少し苦手なんだ。



”オイテカナイデ”
”ネェタスケテ”


私には君を抱える腕は
塞がってしまっている。




見通したような目をしてるくせに、


いつも無表情の癖に、



突き放そうとすれば、

こんな顔をする。




この無表情を
悲しげな顔だと思ってしまう自分は
なんなのだろう?



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