これが恋だとするならば・・・
スキなコが泣いている。

それはこんなに俺を無力にさせた。


俺の目の前で
俺のせいで

泣かせたことを
謝るしかできない。


どうしようもなくて、


俺はひたすら、
泣き止んでくれるように
智里の頭を撫で続けていると、



智里は
涙でグシャグシャになった
顔をこっちにむけた。



そしてカスレタ声で
ボソボソと小さくいう。




「・・・わた、・・他人の血が・・・ダメなの・・・・ッ」


途切れ途切れの震える声に、
俺は首をかしげた。



・・・・・・・血?


そういえば、
俺も殴られたんだった。



しかもその衝撃で
机の角に頭うったんだよなぁ・・・。


思い出したら、
結構痛い・・・。




俺はキレタ口の端や
机の角でうった額からでてる血を
ぐいぐいとぬぐった。




Tシャツが


血の赤に


染まる。




「鉄の匂いとか、
鮮やかな赤が人から流れるところとか、
昔から・・・ダメ・・で。


連想させる赤もチョット苦手で・・・。
怖くて・・・・。」




混乱なのか、
これも血のせいなのか、
智里は淡々と話し出す。




本当に、
智里は
血がダメなんだ。






「俺、保健室いってくるね。」





もう智里を怖がらせたくない。




俺のせいだ。


泣かせてしまってゴメンネ。


智里。



イロイロな感情が
グルグルと俺の脳内を
駆け巡った。



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