これが恋だとするならば・・・
聞き覚えのある声にホッと息をつく。



知らない先輩ばかりの空間が
居心地悪かったせいでもあるけど、


それよりも先輩が
普通だったことに安心した。




なんで


”先輩が私の名前を呼んだ”。


それだけのことに
私はこんなに胸を撫で下ろしているのだろう??




「・・・智里。

ここ人目が多いし、
・・・・・廊下に行こうか??」


「あ!?えぇ、はい・・・。」



先輩が”いつもどおり”というより、


あの瀬名先輩が
やけに普通の先輩ッポイ!?



さり気無く気づかう所が
妙に大人っぽく見える。




私は瀬名先輩に手をひっぱられて
先輩たちの痛い視線の中から
逃げ出した。




廊下に行くと


先輩は溜息をつく。



「智里ってチャレンジャー??

確かに『来い』とは行ったけど、
まさか本当に来るとは・・・。」



呆れてる?
声のトーンがやけに冷静だ。



先輩を観察していると、
おでこのガーゼに気付いた。



前に血が出ていたところには
きっちりとガーゼがつけられている。



「大丈夫ですか??」
「・・・ん?何がーぁ?」


何がってそんなの決まってるだろ・・・!?



物言いたげな顔をした私に
先輩は穏やかに「あぁ」と頷いた。



「まぁあんな赤い液体、
俺の手にかかればチョチョイのちょい・・・・・。

智里が気にする必要なんてないぐらい平気・・・。」




・・・ん?


「あ、はい・・・。」



「そんなことより智里は大丈夫なの?」



・・・・・・ツーカ、ナンデ?


もしかして、
私が心配されているのだろうか??




いや、
本来、貴方が心配されるべき立場なんですけど・・・。


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