これが恋だとするならば・・・
そして分かりづらい優しさというのは


こんなに温かいものなのだと知る。



廊下の隅っこにいる


私と先輩の間に
穏やかな雰囲気が流れ込んだ。



しかし、

そんな空気を壊すのは
とんでもなく空気が読めない人。





「・・・・・智里。




もしかして



俺のこと

ラブ・・・?」







・・・・・・・・・・は?

いやいやいやいや、ハ?



先輩はナチュラルにいって
可愛らしく首をかしげたけど、
勿論いわれた私はキョドル。





お前は本当に日本男児か!?
ってぐらい恥ずかしいセリフだと思う。





「ラブなわけなーいッッ!!」



私は絶叫して先輩から10歩ぐらい後ずさりした。





もしも・・・


『如月、ラブー!』

なんて誰にでもいっちゃう田中のようなノりがいい相手なら

『私もよ。ダーリン!!』


ぐらいにノれるけど、



無表情でいわれると、


冗談なのかが分からない。


そしてどう反応すればいいかも分からない。



いや、きっと、冗談だろうけど!?







キモイけど
「スキ」っていわれれば
さすがに私も照れる。





あの時、
先輩がいった≪惚れた≫は、


私の初告白だったわけだし、
先輩とは初対面だったから、


そんな上手い話を信じることは出来なくて


とてつもなく


彼の全てが

偽物のようで

傷つくだけだった。




だけど、

今みたいに

ある程度、
相手を知ってしまえば、
そこまで傷つかない。



彼の名前を知ったあと、
彼の表と裏を知ったあと、
彼の優しさを知ったあと、


不意打ちだ。



こんなの照れるに決まっている。


私限りなくキモイ。




だけど、


そうやって真面目に言ってしまう先輩も



照れる私と同じぐらいにキモイ。




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