あたしと君とソレ。
しかし、視線の先のおじいちゃんはその事について聞き出そうという雰囲気もなくただただ、

優しい表情であたしを見つめていた。

だからあたしは何も言わず視線をカップへと戻し、甘い香りを漂わせるソレを見つめた。



「…い、ただきます」



おじいちゃんは下がった目尻をさらに下げると、大きく頷いた。

カップを口元へと運びゆっくりとソレを啜る。


湯気から香る甘さと口の中に広がる甘さが一致した時。



「…美味しい!」



あたしは、自然と声をあげた。
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