あたしと君とソレ。
あたしは今年、私立の桜龍学園高等学校に入学した。
自宅から片道二時間、往復で四時間の家から遥かに遠い学校にしたのには理由がある。
それは、過去を捨てる為。
簡単に言ってしまえば、俗にいう“高校デビュー”だ。
家庭の事情で完全に心を閉ざしたあたしは、もちろん友達なんて一人もいなかった。
欲しいとも思わないし、憧れもしなかった小学校低学年時代。
しかし、そんなあたしに優しく手を差し出してくれた人がいて、それがきっかけに人との関わりに興味を持ち始め、
人として本来持つべき感情を取り戻し、そしてさまざまな感情を得とくした小学校高学年時代。