あたしと君とソレ。


普通なら10分で家に着く道のりを30分かけて歩くあたし。

落ちたどんぐりを拾ったり、
アリの巣を見つけて巣からアリが10匹出てくるのを眺め待ってみたり、
川の鯉に給食のパンを投げてみたり…


出来るだけの道草をしていつも家に帰宅していた。

そして、今日もいつものように道草に励んでいると突然背後から肩を叩かれ。



「ヒィィイイっ!」



いきなり肩に触れた異物感に思わず、身体を強張らせ悲鳴に近い声をあげた。

すると、あたしの肩に置かれた手はパッと離され、
その代わり低音の少し掠れた声が聞こえてきた。



「おぉ…ごめんごめん、驚かせてしまったか」



頭上から聞こえてくるその声は、少なからず困惑の色が含まれていて、
でもその音色は…なんだろう、とても温かかった。

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