あたしと君とソレ。
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「ここだよ」
そう言っておじいちゃんが足を止めてハッとする。
顔を上げれば目の前には建物と建物の間にひっそりと存在する素朴な建物が建っていた。
「なんかトトロに出てくるお家みたいね」
あたしの言葉におじいちゃんは声を出して笑いお店のドアを開けた。
おじいちゃんはこっちこっちと手招きをし、カウンターの一番端の椅子を引いた。
あたしはその椅子に腰を下ろすとおじいちゃんはちょっと待ってて、とあたしに言い残し、
お店のさらに奥の部屋へと入っていった。
それから少して、奥の部屋から何やら甘い香りが漂ってきて、ようやくおじいちゃんが姿を現した。
おじいちゃんの手には小さな可愛らしいカップが握られている。