マイスタイル
バレンタインが終わっても…
「仂くん戻るんですって」

お母さんが、そう言ってきた。

あのバレンタインから、五日後のことだった。

「そう」

やっと、自由にできる。

わざわざ朝早く登校して、夜は遅く帰って、とにかく出会わないようにしようとしていた日々から解放される。


―――あれ、

あたし、

またあいつに縛られていた―――?


「いつ、かえるの?」

「明日よ。明日のお昼の電車に乗るんですって」


心底、あいつが憎い。

あいつが、私の、基盤な気がする。

それが憎い。

ここまで、よくも私を洗脳したものだ。

仂は私のすべてを知ってる。

私がどんな性格なのか。

私の趣味だって、私の好きだった人だって。

――たいてい、好きな人はバレていた。

ホワイトデーだって、いつも私の欲しいと思っていたものをくれた。

だからいやだった。

自分の嫌なとこまで知られているのがイヤだった。

あいつの反抗期に付き合わされて、ずっと泣いていたのは知らないあいつが嫌いだ。


だいっきらい!


私は、外に出た。
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