マイスタイル

ホワイトデーのお返しはどうしようか。

買う?

作る?

仂の顔が浮かんだ。

“ホワイトデーのお返しはいらない”

あのとき、最後に渡したときに思った。


だって、ホントは作ってないもの。

私が作ったんじゃなくて、友達に作ったチョコを分けてもらったの。

だからいらない。

もう、しらない。

――反抗期だったんだ。私の、仂に対する、反抗だった。

いつも食べてるグミを手に取ろうとしたときだった。

後ろから手がのびて、その手が隣の板チョコを取った。

「おまえが買うのはこれ」

「ろく…」

私の後ろに、仂が立っていた。

< 14 / 38 >

この作品をシェア

pagetop