マイスタイル
『明日も実験?』
という文章を打ってから、送信ボタンを押すまでに、それはそれは長い時間と労力を要した。
おかげで電池が二個になってしまった。
返事は意外にも早く、
『明日は休みだけど?』
私は思わず枕に顔を埋めた。
これは行けってことなのか!?
『本当に毎日実験なのかと思っただけ』
うん、これで誤魔化せるだろう。
『へんなやつ』
何がへん!? どこが!?
『おやすみ(`´)』
久々の会話で怒り顔とか、ほんと子供っぽいなあたし。
そして、本当に来てしまった次の日。
私は仂の部屋の前で立ちすくんでいた。
何の連絡もなしにやってきたから、きっと困るに違いない。
私は、インターホンを押そうか迷っていた。
いや、でも押さなきゃ来た意味ないし。
だいたい遠いよココまで来るの。距離は言うほどじゃないのに、何回も電車乗り継いでようやく辿り着く。遠い。遠い。
私はインターホンを鳴らした。
ピンポーン
「‥‥‥」
出ない‥‥?
ピンポーン
出ない‥‥!?
もしかしていないの!?
ドアノブをつかんでみたが、ちっとも動きそうにない。
「うそぉ‥」
風が冷たくなった。