マイスタイル
ぎゅって、とても強くて、まるで心臓を掴まれたみたいに、苦しい。

「なによ」

「結構ショックだったんだけど」

卑怯だ。そんなカオしてなかったじゃないか。

ところがいきなり、私の首筋に顔をうめて、私は生温いものを感じた。

「――あッ‥」

次第に上がってきて、そして耳元でささやかれた。

「詫びてよ。」

直後私を抱きしめていた仂の手が、私の胸に触れた。

「やっ‥!」

私は頭突きをしてその腕を振りほどき、急いで離れた。

なんだか、自分の呼吸がやけに荒い。

仂はしまったと言わんばかりの表情でこちらを見ていた。

「―――おれ、課題が残ってるからおまえ風呂入って寝ろ。」

やけに早口で、立ち上がってクローゼットをガサゴソ引っ掻き回し、私にタオルを渡した。

「ほら。それからこれ、おれのルームウェア。でかいけど我慢しろ」

私の背中をひどく強く押して、お風呂の前まで導いてくれた。

仂が机の前に座ったらしく、私は急いで中に入った。

鍵をかけて、私はその場にしゃがみこむ。


渡されたタオルとルームウェアを抱きしめ、顔をうめた。

どうしよう

まだ、どきどきしてる。


そうだ。仂は、男の人なんだ。



「どんなカオしてればいいのよ‥‥」


私はやっと、仂を異性として認識したのだった。



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