マイスタイル

お風呂―――といってもシャワーだけど―――から上がると、ベッドと反対側の壁に向かってパソコンを叩いている仂に声をかけた。

「お風呂は?」

「んー、あとでいく。あ、おれのベッド、一人で使っていいから」

「仂は?」

「いらない」

いや、そういう意味じゃなくてさ、あんたはどうすんのよ。

なんだかかなり集中しているみたいだったから、これ以上はまともな返事もないだろうと、私はベッドに潜り込んだ。

仂の、匂いがした‥‥




「ん‥‥」

うなりそうになって、そうだ、ここは仂の部屋だったと気付いて抑える。

明かりが目に飛び込んできて、目を細めた。

背中‥‥

外は暗いのに、そこだけが明るくて、仂の背中を浮かび上がらせていた。

枕の隣にある時計を掴んで見ると、二時だった。

仂の方に視線を移す。

シャワーを浴びて着替えたらしい。けれどまだ寝る気配はない。

「寝ないの?」

「あー、起きた? 気にすんな。寝てろ」

「いらないってまさか徹夜して寝ないつもり?」

返事はなかった。


私は起き上がって、キッチンを漁る。


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