マイスタイル
私は来月のホワイトデーに、友チョコのお返しをあげなきゃ。
そう考えていた。
そう、あと六時間でバレンタインが終わる。そんなときに。
「あの‥‥」
電車を待っていると、私は同じ高校の制服を着た女の子に声をかけられる。
だれかと思っていたら、彼女は私に可愛らしい紙袋を差し出した。
「何?」
「もらってください」
まてまて、いや、読者のヒトもバックしないで! 決して百合モノ書いているワケじゃないからね、この作者は。
私はついそれを受け取ってしまった。
これは、私のためのプレゼントじゃないからだ。
おそらく、行き場のないチョコレート。
同じホームってことは、何度か登校も一緒になったことがあるかもしれない。
「あたしが食べちゃっていいの?」
彼女はこくりとうなずいた。
そして、去っていく。
哀愁ただよいまくりだ。
袋の中を覗くと、かわいらしく箱にリボンが結んであって、売り物っぽかったけど、マークがないから手作りだとわかった。
早々に手を付けるのはやめよう。
電車が風とともに入ってきたので、私はぞろぞろと乗り込んだ。