マイスタイル

昔から嫌いなやつだった。とにかく苦手で、私はいつも振り回されていた。


あいつの無表情はどこでも同じらしく、なのに毎年チョコをもらっていた。


私はとにかく作らなければあとが恐かったので、毎年チョコをあげていた。

だけどあいつは大学生になって、ここ最近連絡をとっていなかった。


なんでこっちに戻ってるのかと訊くと、「春休み」の一言が返ってきた。



「仂くん、晩ご飯食べてってね」

母はうきうきとテーブルに料理を並べていた。

このあと出すチョコケーキのためのお膳立て。

それは父にするべきだろと思いつつも言ったら面倒なことになるのでやめておく。


一体この能面野郎のどこがいいのだろう。


私は二階に上がって引き籠もることに決めた。


「おばさん、食べよっか」

仂はそう促す。

「そうね。祥子、冷めちゃうから早く降りてらっしゃい」

仂が促さなくても結果は同じだとわかっていた。

だけど抵抗はいとも簡単に無力と化してしまった。

こいつのせいで!

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