マイスタイル

私は、みんなからもらったチョコを食べた。

あの子にもらったチョコも、ちゃんと食べた。

あの子も、もらってもらえることで、安心したかったんだ。



私は忘れていた。


たとえ失敗しても、仂は私のチョコを食べてくれていたことを。

ま、自分から作れって言ったんだから食べないなんて言わせないけどさ。


当たり前だ。


あいつは食べるのが当たり前なんだ。



命令ばっかでさ、恐くてイヤだと言わしてくれない。


行くぞと言われれば、たとえどこだろうとついていった。

やれと言われれば、たとえ大変でも頑張った。

それがいきなり大学へ行って、いきなりいなくなるもんだから、私の努力の日々はあっけなく終わった。


永遠に続くと思っていたから、不思議だった。

念願の解放に、少なからず迷っていた。



私の役目は終わったのだ。

だけど、空虚に浸っていたのは、当たり前の日々に、安心していたから。



――当たり前だったんだ。

あいつが隣にいたことが。


――バレンタインが終わると、世の中が終わった気がする。


あれは、仂とのことだった。

中三のときに、仂にチョコを渡してから、私の世界は変わったんだ。

あれから、あいつは私の世界から消えた。

だから、今は受け付けないんだと思う。いまさら、何をどうしたらいいのかわからない。



もう、仂に従ってた私じゃないんだよ。


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