おまえは/ずっと/俺の中に
春―感情
 「お~い神前~、神前!」

窓際の席、飯終わりの5時間目の国語。

担任の、眠りを誘うような声で俺は、

うとうとしながら、いつの間にか眠っていた。

中3の春、義務教育最後の春。俺は憂鬱なまま過ごしていた。

 「なんすか。」

 「ここ、5行目から10行目まで読んで。ほら体起こして~。」

開いていないままの教科書を手に取り、パラパラっと開く。

ページを見つけるまでのこの沈黙。何年も経験してきたが俺は大っきらいだ。

 「12~、類~、12~。」

廊下側の席から、静かな声が聞こえる。

山本龍希だ。1年の時からのダチで、今も陸上部で一緒。

リレーのアンカーをやっている。3走である俺は、

こいつのことを分かるのに苦労した。

 「文の成分。文節とは……」


 校庭の桜は満開。心地よい春風に揺られて、桃色の花弁が舞っていた。
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