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第二章 信頼
優愛
「ねぇ、柳原さんだっけ?」
私が一人で観客席にいると
後ろから声がした。
そこには、先ほど私とぶつかった新城高校の人だった。
何で私の名前知ってるの?
茶髪でツーブロ。
左耳にはピアスが付いていた。
バスケ部なのに、こんな
チャラ男がいるなんて…。
「そんな警戒しなくても何もしないよ。…今はね」
頭の上に?を浮かべる私。
新城高校の人は私の隣に座って
私の手を握ってきた。
ゾワッ
背中からもの凄く恐怖を感じた。
「大谷先輩!あれ見てください!新城の奴らがっ」
下でウォーミングアップしていた
こうちゃん達。後輩が私のいる観客席に指を指した。
観客席には、私の手を握って顔を
近付ける新城高校の人。
やだ、怖い。
バーーーーンッ!
私と新城高校の人の間に
バスケットボールが
勢いよく飛んできた。そして。
「てめー!よくも優愛に手を出したな!?」
大きな声で叫ぶこうちゃん。
周り一体は私たちを見る。
こうちゃんはものすごく
怒っていた。理由は分からない。
私を助けてくれたのには変わりはないな。
すると、新城高校の人は立ち上がり
バスケットボールを拾った。
「久しぶりじゃねーか、負け犬。今日も、負けに来たか?」
あざけ笑う新城高校の人。
下にいるメンバーも笑っていた。
なにこの人、性格悪すぎ!!
もしかして、新城高校の部長さん!?
「今日はぜってー勝つ!」
「ふん、精々頑張るんだな。まぁ、今日も俺たちに負けるんだろうけどな!わはははは」
新城高校の部長さんはボールをこうちゃんの所へ投げ、
笑いながらどこかへ行った。
こうちゃんはすぐさま私のいる観客席の真下に来る。
「大丈夫だったか?優愛っ?」
本当に心配している様子のこうちゃん。
相変わらず優しいな…。
ゆっくりと、首を縦に振る私を見て、
こうちゃんは笑った。そして、真剣な表情で私に言った。
「この試合に俺が勝ったら、お前が行きたがっていた水族館。二人で行こう」
周りがざわついた。みんなが私を見る。
「…こうちゃん」
私はこうちゃんを見下ろしながら言った。
「そんなに水族館行きたかったの?」
真顔で答える私。
ズゴーーーッ 一同がすべる。
「違うわ!ボケ!」
顔を真っ赤にして怒鳴るこうちゃん。
「え?違うの?じゃあなによ」
「もぉいいわ!練習してくるわ!ボケ女!」
ムスッと膨れる私をよそに
スタスタと、皆のいるところへ向かうこうちゃん。
うーん。さっきの言葉どういう意味なのかな?うーん…。