cocoa 上
 新城高校との試合に勝ったこうちゃん達。
 本当に勝っちゃった。呆然と観客席で立ち尽くす私。
 観客席は今でもすごく賑やか。
 次の試合の高校生達が会場に入る。迫力のある高校ばかり。
 私の知らない高校生達も来ていた。

 その中で目立っていたのは、
 優等生のような気品のある青海高校。
 気合いが入っている佐志久高校。
 元気100%オーラの身長が
 低い選手ばかりの達波高校。

 こうちゃん達と当たりそうな雰囲気がした。
 私はゆっくりと椅子に腰を下ろして携帯を開く。
 携帯画面には、一通のメール。


「あれっ?いつの間に…」


 メールを開くとそこにはこうちゃんからのメール。
 たった8文字の絵文字なしのメールには。
【駐車場で待ってる】の本文が書かれていた。
 こうちゃん達は、試合が終わったので各自解散となったのだ。

 私は急いでその場から離れ、階段を降り人混みの中
 避けながら会場の出口へ向かった。

 靴を履いて、会場の裏の駐車場へ走って向かった。
 こうちゃんを待たせると本当何言われるか分かんないもんなぁ。
 急げ急げっ 。あ、いた!あそこに人影がある!
 きっとこうちゃんだ。

 私は大きく手を振って叫んだ。


「こうちゃーん!」


 走って辿り着き、息を切らしながら
 顔を下に下ろして人影の前に立つ。


「こうちゃん、遅れてごめんね。メールさっき気づい…」


 ゆっくりと顔をあげて、人影の顔を見るとそこには。
 こうちゃんではなく、中川先輩が立っていた。


「中川先輩!?何で中川先輩がここにいるんですか!?」


 パニクる私。中川先輩は、それを無視して歩き出す。
 私が戸惑っていると、中川先輩は振り返って言った。


「光汰に頼まれた。今日一日、柳原とデートをしてくれってな」


 そう言うと再び歩き出す中川先輩。

 ええーーーー!?
 デ…デートぉぉぉ!?中川先輩と!?
 嘘でしょー!?さらに、パニクる私。

 
「…何してんの。置いてくよ」


「あ!待ってください」


 慌てて追いかける私。
 私本当に今から中川先輩とデートなんだ…。 

 こうちゃん一体何を考えてるの!?
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