cocoa 上

 その後、私と桃は一言も話さず帰った。
 携帯画面には、桃からのメール。
【二人だけの秘密だからね】
 その二文字の言葉。約束、何を約束したの?優愛らは。
 明日からこうちゃんにどんな顔をしてればいいの?
 そう考えていたけど、本当なのかも分からないのに
 そんな事思ってちゃだめだな、そう思った。

 普段通り。それでいいんだ。何も意識しなくてもいい。
 違うかもしれないんだから。
 家に着くと、お風呂が沸かしてあったから先にお風呂に入った。
 湯に尽きながら、ふとこうちゃんを考えた。
 こうちゃんは、桃に何て言ったんだろう。
 桃が泣いてたんだから、何か酷いこと言ったんだな!
 急に苛立つ私。よし!

 お風呂からでて、着替えると早速こうちゃんに電話。


「もしもし?」


 寝ぼけてるこうちゃん。私は電話越しで叫ぶ。


「ベランダに出てこい!」


 電話を切る私。こうちゃんと私の家は隣同士。
 ベランダを出ればこうちゃんの部屋の窓がある。


「何だよ~?優愛~」


 あくびをしながら、顔を出すこうちゃん。
 私はベランダに出てこうちゃんの胸ぐらを掴んだ。


「桃になんて言ったの!?」


 その言葉に反応するこうちゃん。


「何でもねーよ、おめぇに関係ね事だよ。」


 そっぽを向くこうちゃん。私は力を入れる。


「こうちゃ~ん?」


 ゴゴゴゴゴゴッ 私の背後には怒りが込められていた。


「わわわわ!落ち着け、優愛!!」


 ばっと離れるこうちゃん。そして、窓を閉められた。


「何してんの!開けなさい!こうちゃん!」


 叫ぶ私から逃げるこうちゃん。
 しばらく叫んでも出てこないこうちゃん。
 一か八かだ!私は水晶玉を窓に向かって投げた。

 パリーーーン!窓ガラスが割れる。
 ベッドで寝転んでびっくりしているこうちゃん。
 私はすぐさま、窓に侵入した。


「ふふふふ。こうちゃん、逃がさないよ!」


「まじかよ!」


 青ざめるこうちゃんに飛びかかろうとしたその時。
< 27 / 56 >

この作品をシェア

pagetop