cocoa 上
 桃の言葉の意味が分からなかった。
 どうして桃がそんな事を
 言ったのか私には分からない。


「どうしたの?桃…急に。」


 だから素直に聞いたの。桃の気持ちが知りたかったから。
 桃はまた笑って私に言ってきた。 


「私ね、こうちゃんにフられたの…」


「…桃」


 声が震えてるのが分かってた。
 どこにいるの?私はそう聞いて
 桃の近くのコンビニへ向かった。外は雨が降っていた。
 私は適当にパーカーを着て、下は学校のジャージ。
 家族にはちょっと出掛けてくるって言って家を出て来た。
 コンビニの扉の前で座り込んでいる女の子を見掛けた。
 桃だと一目見て分かった。
 桃は傘をささずにびしょ濡れだった。
 ゆっくりと近付いて声をかけた私。


「何やってんの、桃…。」


「…優愛。」


 ゆっくりと顔を上げる桃。
 優しく微笑む私を見て桃は私の胸に飛び込んできた。


「…優愛ぁー!」


 びっくりしたけど泣きじゃくる桃を見て優しく微笑んだ。
 ばか、そう言う私。
 私は桃を連れて桃の家に向かい、二人で中に入った。
 久しぶりの桃の家。桃の部屋に着くと、
 可愛い縫いぐるみ達が出迎えてくれた。


「わぁ~!!桃、また新しい縫いぐるみ買ったんだね」


「うん、優愛が好きそうだから…」


 笑って縫いぐるみを見つめる桃。
 すると桃はしゃがんで私のジャージを握った。
 手が震えていた。私もしゃがみ込んで桃の横に座った。
 桃の頭を撫でて笑いながら


「どうしたの?桃。」


 そう言うと桃の目から涙が流れた。
 私のジャージを握る手に力が入る。
 そして、桃が震える口から
 話し始めた。小さな小さな体で
 いっぱいいっぱいの気持ちを。  
 こうちゃんへの想いを伝えるとこうちゃんにフられた。
 こうちゃんは他に好きな人がいて
 桃とは付き合えないと桃は言われたみたい。
 桃はそんな事知ってた、
 知らないわけないじゃんって言いながら涙を流した。
 すると、桃は


「でも、でも…私っ。こうちゃんより他に大切な人がいるって気付いたの…っ」


「…桃。」


 大泣きする桃を優しく抱き締める。
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