cocoa 上
 こうちゃんより大切な人?
 そんなのどんな奴だって親友の私は応援する。
 でも桃の言葉は私の想像もつかなかった。


「優愛だよっ…」


 え、どういう…


「親友の方が恋より大切なんだって、気付いたの。ごめん、ごめんね優愛ーっ」


 桃は私を強く抱きしめて小さな小さな体で震えていた。
 桃は私を疑ったこと傷つけたことを
 ずっと弱い体で心配していたそうだ。
 私は何て馬鹿な子なんだろうって思った。
 だけどそんな桃が私は大好き。


「桃ってばもー!!泣きすぎだよー!!」


 笑いながら桃を慰める私。
 そんな私の目にも涙が流れていた。
 桃はこんな風に悩んで悩んで考えていたんだね。
 こんな小さな体で。本当馬鹿な子なんだからぁ。

 その日の夜は親に無理言って桃のお家に泊まり込んだ。
 久しぶりに一緒の布団で眠る私と桃。
 小さい頃もこんな風に一緒に寝てたっけ。
 私の大切な大切な親友、桃。そんな桃が言ってた。
【こうちゃんと付き合ってあげて】
 あのあとも何度も何度も言われた…。
 腫れた目で私を見ながら。桃の望み。

 小さくて私にとっては苦しくて辛い望み。
 そんなの出来っこない。出来ないよ、桃。
 だって、私には好きな人がいるのに。
 でも……。

 【あいつの傍にいてやってくれ】
 中川先輩の言葉が今も胸に残っている。
 桃と中川先輩の言葉が頭の中に交差する。
 私にとって大切で大きな存在の二人に言われたこと。

 だから…。
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