cocoa 上
 次の日。桃と二人で学校へ通う。
 二人で歩いていると
 後ろからこうちゃんの声が聞こえた。


「よぉ、優愛、桃!おはよ♪」


 振り返って桃と一緒に笑って挨拶する。
 こうちゃんの隣には中川先輩。


「ほらっ!海斗も挨拶しろよ」


 こうちゃんに肩を叩かれ無言だった中川先輩の口から
 不器用なおはようの一言。
 それを見て桃と笑う私。今日は何か違う感じがする。
 それもそのはず。


「こうちゃん…!」


「ん、何優愛?」


 私の呼ぶ声に反応するこうちゃん。
 私は息を吸ってはく。
 そして、運命の始まりの言葉をだした。


「今日二人で帰ろ…?」


「…!!」


 こうちゃんは途端に顔が真っ赤になった。
 桃と中川先輩は驚いた表情を浮かべた。
 私の選んだ道はこうちゃんとの道だった。


「え、え、え…優愛それってその…」


 戸惑っているこうちゃん。
 クスッと笑うと私はこうちゃんに鞄をぶつけ駆け出した。


「帰り待ってるね♪」


 笑う私を追い掛ける桃。
 こうちゃんはその場に立ち尽くしていた。


「なんだ…これ。すっげー嬉しい」


 こうちゃんが呟く隣で中川先輩は
 黙って私の後ろ姿を見つめていた。
 これで、いいんだ…。
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