cocoa 上
 中川先輩…?こうちゃんと私は
 中川先輩を見つめる。


「…飯食わねーの?」


 中川先輩の言葉に我に返る私。
 てか、今私こうちゃんと近いっ!
 急に恥ずかしくなってきた私。
 こうちゃんも我に返って
 私の顔が赤い事に気づいて
 こうちゃんまで頬を赤色に染めた。

 こうちゃんの匂い。
 久しぶりに間近で嗅いだかも。


「優愛…あのさ、今日何で」


 こうちゃんが私の髪を触ろうとした
 その時、中川先輩の手が私の腕を掴んだ。


「え?中川先輩…?」


 中川先輩は無言で私を立たせた。
 こうちゃんが中川先輩を見る。
 私は一瞬桃の言葉が浮かんだ。
 だめだ、こんなこと。嬉しがっちゃだめなんだ。 

 私は中川先輩の手をはらって
 こうちゃんの前に手を伸ばした。


「何やってんの、こうちゃん早くご飯食べよう!」


「…あ、あぁ。」


 こうちゃんが私の手を掴んで
 ゆっくりと立ち上がった。
 私は中川先輩の方を見て
 優しく微笑み中川先輩に
 後悔が混じった言葉を出した。


「中川先輩、起こしてくれてありがとうございます。でも普通、こうちゃんが先でしょ?私は別に自分で立てますから。」


 席に戻る私。今、中川先輩の事を見れない。
 見たら泣いちゃう気がしたから。
 中川先輩がその時どんな表情で
 私の話を聞いてくれてたのかは分からないけど
 そのあと中川先輩は一言も話さずこうちゃんの隣で
 ご飯を食べていた。これでいいんだよね。

 私とこうちゃんは
 今度の期末テストの話をしていた。
 一緒に勉強しよう、そんな約束もした。
 こうちゃんは見栄張りながら
 俺教えるのめっちゃ得意だから!
 笑いながらその話を聞いていた私。

 教えるの得意ってあんた勉強できないくせに
 よくそんな事言えるんだね。
 本当、馬鹿。
 でも一番馬鹿なのは私なのかもね。
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