どうしても君がいい。
1 始まりなんてこんなもの。
放課後は憂鬱だった。
高校生ともなれば、彼氏彼女が居ても普通の光景で。
そうでない学生達も、部活やバイトにと、日常を消化していく。
毎週水曜日。
この日は友達からの誘いもすべてキャンセルしなければならなかった。
これは高校に入学した時から、ずっと続いている。
織田 亜美(オダ アミ)は、ひとつ深い溜息をついた。
「本当、有り得ないんだけど」
亜美の通う高校は、県内でもなかなかの進学校だ。
もっとも、学科は細部に分かれていて、進学コースの生徒が有名大学に合格するという実績のものだった。
一応、亜美もその進学コースの学科に籍は置いていた。
「私だって、暇じゃないんですけど」
口をついて出るのは愚痴ばかりだ。
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