どうしても君がいい。
2 ざわつく気持ち


*************







「亜美ちゃん、もしかして怒ってる?」

無言ですたすたと先を歩く亜美の後ろを蓮が追い掛ける。

「怒ってないけど」


あの後、校門に行くと真一の言った通りに蓮は女子生徒に囲まれていた。
携帯番号を聞かれたり、写メを撮られたり。

亜美の姿を見つけると、またあの笑顔で女子生徒達の間をすり抜け駆け寄ってきた。

生徒達からは、一斉に注目を浴びるし、『何であの子?』や、『姉弟?』という声も聞こえた。

幸い、蓮は亜美について詳しく話してなかったようで。
それでも、蓮が亜美に好意を寄せていると気付いた人間は居ただろう。

亜美は、目立ちたくなかった。

過去に苦い経験がある。
大人しく、目立つ事なく過ごしたいのだ。

「好きな人には毎日でも会いたいしー」


何で、恥ずかしげもなく言えてしまうんだろう。
亜美には不思議でならない。
寧ろ、その羞恥心のなさが蓮が本気なのかが分からず戸惑ってしまう。



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