どうしても君がいい。

「諦めないって言ったよね」

後ろを歩いていた蓮が、亜美の前に回り込む。

150cm弱と身長の低い亜美に目線を合わすように、下から亜美の顔を覗き込んだ。

「亜美ちゃんが、俺を嫌いって言っても…諦めたくないしね」

「…え?」


昨日までは、確かにはっきり答えが出るまでと言っていたはずだ。

「一年って、俺らの年齢からしたら大きいかもしれない。
だけど、俺らはこれから大人になっていくんだし」


「年齢、だけの問題じゃないとしたら……」


亜美の答えに蓮の動きが止まった。
蓮の周りの空気が変わったのが分かる。


「今まで、どんな人と付き合ったかしらないけど…何でそんなに自信あるの」

諦めないとか、そんな事。
何で言えてしまうんだろう。


「亜美ちゃん、俺の目を見て」
「…嫌だ」

また、あの蓮の顔だ。


住宅街の通りを歩く人はまばらで、遠くの方で犬の鳴き声がする。

「自信があるんじゃない。亜美ちゃんを他に取られたくないだけ」

「意味…わかんない」

蓮の目を見てしまうと、動けなくなってしまう。
思考が止まってしまう。

「キスしていい?」

「…嫌だ」

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