どうしても君がいい。
「それなら、逃げてよ」
動けない。
蓮の声は、亜美を動けなくしてしまう。
なぜなのか、亜美には分からない。
「期待しちゃうよね、俺も」
「…しなければいい」
「………」
沈黙。
亜美の腕を蓮が掴む。
びくっと、大きく亜美の肩が揺れる。
逃げようと身をよじったが、もう遅かった。
逃げようとする亜美の体を掴んだ腕から引き寄せ、空いた手で顔を上げさせる。
「顔、真っ赤…」
亜美の顔をまじまじと見つめ、まるで囁くような低音。
幼い中学生かと思えば、時折覗く大人びた顔。
「私の、どこが好きなの…」