どうしても君がいい。
3 記憶と感情の蓋
亜美は迷いに迷った末、早苗にメールした。
時間は10時を過ぎていた。
パジャマに着替え、ベッドにまた座り込む。
折り返し、すぐに早苗から電話が掛かってきた。
「もしも…」
『何で、もっと早く言わないのっ!』
電話に出るや否や、早苗の声が携帯から漏れるほどの大声。
『で?告白されて、亜美はどうすんの』
「…いや、何ていうか…信じれないっていうか」
キスまでされた事はまだ言えていない。
『好きじゃないなら、はっきり無理っていえば?』
「そうなんだけどさ、親同士知り合いだし。家庭教師の事もあるし」
『亜美…あんた、まだ私に隠してる事ない?』
す、鋭い。
亜美は思わず息を呑んだ。
「…キス、された。先週と、今日と…2回」
『はあ?何してんの』
「だって…絶対に諦めないとか。私が欲しいとか。学校まで来ちゃうし…蓮くんのペースになって…」
『……ませた子だね』
早苗が苦笑いをしているのが、何となく分かる。
『学校まで来るとか、普通なら出来ないよね。よっぽど亜美が好きか…年上のお姉さんには慣れてるか…どっちかかな』
「やっぱり、はっきり言うしかないよね…」
何だか、傷付けてしまうのが怖い気もする。