どうしても君がいい。


************


先輩の声が、また笑う。

付き合ってると、思っていた。
キスだって何度もしたし、好きだと言われた。

だけど、先輩は私をただの後輩だと…一緒に歩いていた女の人に言う。


――…すべてを、その瞬間悟ってしまった。



亜美は、先輩の本当の彼女ではないという事。


「処女を…守れただけ良かった…」

亜美は自虐的に笑う。

「っていうか、笑わなくても…いいじゃん」

またあの笑い声。
悔しくて、瞼の裏が熱くなる。


それでも、亜美は本気だったから。
中学二年の時の話しだ。
初恋だった。

相手の先輩は一つ上だった。

告白にOKがもらえて、舞い上がった。
早苗には一番に報告した。
一緒に喜んでくれた。


「ちゃんと、断ろう…。」

蓮を信じれない。
恋愛を信じれない。

先輩と蓮は違うと、今は考えられなかった。

「今日も、寝れないかも…」

ぐるぐると苦い記憶が頭の中を巡る。

また、蓋をしなければ。

もう思い出したくない。
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