どうしても君がいい。
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先輩の声が、また笑う。
付き合ってると、思っていた。
キスだって何度もしたし、好きだと言われた。
だけど、先輩は私をただの後輩だと…一緒に歩いていた女の人に言う。
――…すべてを、その瞬間悟ってしまった。
亜美は、先輩の本当の彼女ではないという事。
「処女を…守れただけ良かった…」
亜美は自虐的に笑う。
「っていうか、笑わなくても…いいじゃん」
またあの笑い声。
悔しくて、瞼の裏が熱くなる。
それでも、亜美は本気だったから。
中学二年の時の話しだ。
初恋だった。
相手の先輩は一つ上だった。
告白にOKがもらえて、舞い上がった。
早苗には一番に報告した。
一緒に喜んでくれた。
「ちゃんと、断ろう…。」
蓮を信じれない。
恋愛を信じれない。
先輩と蓮は違うと、今は考えられなかった。
「今日も、寝れないかも…」
ぐるぐると苦い記憶が頭の中を巡る。
また、蓋をしなければ。
もう思い出したくない。