どうしても君がいい。
パジャマから制服のブレザーに着替え、朝食を食べ終えると日焼け止めだけを塗り、学校に向かう。
メイクは校則が厳しいのもあって、必要最低限にしている。
気分がいい日にマスカラを重ねる位だ。
学校に着くと廊下で反対から歩いてくる真一と目が合った。
「織田、おはよ」
「…おはよ」
挨拶をするのは、いつもの事。
妙に気まずいのは、昨日の電話の一件のせいだ。
「昨日は悪い、お節介だったよな」
「何気にしてんの。けど、ありがとう」
真一が困った顔をするから、亜美は笑ってお礼を言った。
「…いや、何て言うか…」
「だから、ありがとう。もう大丈夫だし。っていうか始めから何も問題ないしさ?」
珍しく、真一の歯切れが悪い。
しかし、亜美は大して気にする事もなく。
話を切り上げると、前方に見えるクラスメイトの輪の中に入って行った。
「……俺、格好悪…」
真一はバツが悪そうに呟いた。