どうしても君がいい。

「亜美、昨日の綺麗な男の子って誰?」

呼ばれてクラスメイトの輪に入ると、早速昨日の蓮の話題。

「近所の子だよ」

それ以上でも、それ以下でもない。
亜美は自分に言い聞かせるように答えた。

「えー…でもさ、近所の子がわざわざ迎えに来る?」

ニヤニヤと笑いながら、更に何かを聞き出そうとする。

「年下もいいよねー。あんな格好良い子なら、私なら襲っちゃうかも」

冗談なのか、本気なのか。
周りの子達も笑いながら、次々と勝手に話し出す。

廊下で喋り続けるから、周りにもきっと聞こえてる。
亜美は、何とか話を変えようとするがまったく聞いてない。
勝手に妄想を繰り広げ、大声で笑う。

「亜美っ!ちょっと手伝って!?」

「早苗っ!?」

ぐいっと、亜美の腕を掴んだのは早苗。
呆気に取られる亜美を、そのまま強引にその場から連れ去った。

笑っていたクラスメイト達も、呆気に取られて会話を止めた。



廊下を端まで走り、自分達の教室に入る。


「…まったく、…適当に切り上げて離れればいい…のにっ」

教室に着くと、亜美の腕を離す。
二人とも肩で息をしながら、席についた。
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