どうしても君がいい。
早苗の言葉が、胸に刺さる。
いつまでも、このままじゃいけない。
「…変わらなきゃいけないのは、分かってる」
「案外、蓮くんが亜美の気持ちを溶かしてくれるかもって思った」
「…え?」
また亜美は早苗の言葉に驚き、動きが止まる。
「亜美はいつも、頭で考えすぎて動かないけど。蓮くんの勢いで一気に変えちゃうかなって」
何と答えていいか分からず、亜美は俯く。
食べ終えたお弁当を専用の袋にしまい、そのまま鞄の中に入れた。
「勿体ないよ、ほんと。亜美の周りに変わるチャンスはいくつも転がってるのに」
「いくつも?」
意味ありげな早苗の言い方に、首を捻る。
しかし、それ以上は教えてくれずに席を立った。
「トイレ行ってくる。亜美も行く?」
「私はいいかな。いってらっしゃい」
頭の中を整理したかった。
教室を出る早苗を見ながら、携帯を制服のポケットから取り出す。
メールを一件受信していた。
サイレントモードにしていたから、気づかなかったらしい。
「……蓮、くん」
メールは蓮からだった。
さっきの早苗の言葉が頭を過ぎる。
メールの内容は、昨日あった数学の小テストが返却された事。
前回より点数が上がったと自慢する内容だった。