どうしても君がいい。
中学生とか、高校生とか。
そういう理由での戸惑いではなく。
実際に話すようになったのは家庭教師を始めた頃からで。
それまでは、擦れ違っても会釈程度。
それなのに、直ぐさま好きだと言われても信じられない。
ましてや、蓮の外見はとても大人びていて童顔の自分とは不釣り合いだろう。
実際、亜美の友達に蓮のファンがいるほど、蓮の容姿は目を惹くものだった。
「亜ー美ちゃん。またごまかすの?」
黙り込んだ亜美に、蓮が顔を近付けた。
「ごまかしてなんか…」
やっと、口を開くと嬉しそうに蓮は目を細める。
「また、キスしちゃうよ?」
「………ッ!?」
先週、亜美は蓮にキスをされた。
あまりにも相手にしない亜美に蓮が強行手段として、不意打ちで唇を奪ったのだ。
意識しないようにと、片隅に追いやった記憶が甦る。
「亜美ちゃん、顔真っ赤」
その様を、可愛い可愛いと連呼する。