桜の記憶 短編
そして、記憶を頼りに屯所でいう土方さんの部屋のあたりを見る。

よく、土方さんには怒られたっけ。

「ったくてめえはなんで同じこと言わせるんだよ!!」

「ご、ごめんなさーい!!!」

私は土方さんのお仕事をよく手伝っていた。

そしてよく間違えては土方さんに叱られていた。

でも、たまに優しくほめてくれることもあった。

「朝霧は優秀なんだな。」

「えへへ?」

優しく、穏やかに微笑む土方さん。

土方さんはよく、平隊士から鬼の副長と呼ばれていた。

確かに鬼くらい怖いときはあった。

だけど、本当は優しい人だった。

そして、私の入れてくれるお茶を美味しいとほめてくれる優しい人だった。

もう1度くらい、お茶を入れてあげたかったな。

私は苦笑いをこぼして足を進める。
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