桜の記憶 短編
そして、最後に桜の木の前で歩みを止める。

ここはあなたとの・・・・沖田総司との思い出の場所。

ここでよく総司と話したね。

そして、ここで総司に思いを告げられた。

あなたはいつも優しくて、強がる人だった。

そしてどんな時でも私を守ってくれた。

あなたの強い背中を見るといつでも大丈夫って思えたんだよ?

あなたが愛おしくて、大好きでした。

そして、それは今も変わらない。

「朝霧と出会えてよかった。」

「私も総司と出会えて本当によかったと思ってるよ?」

そう言って抱きしめあったのは昨日のようなのに、もう遠い過去。

あの時は永遠ってあるんだと信じていた。

幸せはずっと続くんだと思っていた。

だけど、あれからあなたは結核で苦しむ日々を送った。

一生懸命看病してもあなたは日に日に弱っていった。

絶対にあなたの前で泣かないようにしていた。

だけど、あなたはそれをわかっていてくれたんだね。
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